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絵本と出会う

お客さんから「○○という本ありますか?」とよく尋ねられます。一年半お店に立っていると、尋ねられる本の中でもこの本よく名前がでてくるなというものがわかってきました。そしてそのよく尋ねられる本は2種類に分類されるということも少しずつわかってきました。

 

1つは、今話題になっていて新刊書店に山積みになっている絵本。

2つめは、今現在話題ではないけれど、子ども達にひそかに愛されている絵本。

 

1つめは、古本屋という性質上、話題の本を手に入れるのはとても難しく、手に入ったとしても安価で提供するのも難しく、こういった本は新刊書店に行ってもらうほうがまちがいないとあきらめています。大人向けの単行本や文庫本などは話題になるとたくさん流通し、その話題が去った頃に古本屋にたくさん回ってくるということもありますが、絵本にはその流れは生まれにくいと感じています。絵本は一回読んでおしまい、ではないからです。同じ子どもが何回も読むことは大前提ですし、妹や弟に、子どもに、孫にとずっと家の大切な宝物として引き継がれる傾向にあるからだと思います。そう考えると絵本と単行本の値段はそれほど差はないのに、存在の仕方がずいぶん違うな、絵本は高いと言われるけど、安いのではないかとも思ってしまいます。

 

2つめは、ひそかに愛されている絵本。話題になっていないのならば手に入れやすいかというと、さらに難しいのです。子ども達に愛されているので、新刊書店にあることもあれば、あっても簡単にはみつからないことも多い絵本達です。今はもう売っていないけど、いつも図書館で読んでいて子どもが大好きで、という絵本もとてもたくさんあります。そうして図書館で何度も読むうちに、大好きになったという声を何度も聞くと、やはり絵本って、一回読むだけではわからないものだなと思うのです。何度も何度も読んで、愛されていく。それはつまり手放されないということでもあります。だからこういう絵本達も古本としての入手が難しいのです。

いずれにしてもこういった密かに愛されている本たちは、品切れでなくても現在販売中のものでも、本屋さんで簡単にみつからないものが多いので、絵本専門の古本屋だからこそ答えられること。頑張って探していきたいと思っています。

 

探している絵本をお店で尋ねてくださって、今はありませんとお答えすることはとても多く、いつも残念に思っています。見つかるかどうか、見つかるとしてもいつになるのかもわからないので、頼まれて探すということはしていませんが、密かに過去に聞かれた絵本達は探し続けています。

そうやって1年半探し続けていると、1冊、2冊と少しずつ見つかっていきます。でもその密かに子ども達に愛されている絵本は、入荷するとすぐに、おそらく尋ねてきた子ではない別の誰か。同じくその絵本を探していた子に買われていくのです。

だからやっぱり絵本というのは、出会いだなあと思います。

 

ちぇすなっとにお越しの際は、以前尋ねた本があるかどうか、よかったら聞いてみて下さい。あるいは聞かなくても、その絵本やまた別の探していた絵本とタイミングよく出会うことができるかもしれません。そんな出会いがたくさん生まれるように、よい絵本をみつけていきたいなと思います。