· 

きゅうきゅうばこ

きゅうきゅうばこ

山田 真 ぶん 柳生 弦一郎 え 福音館書店

かがくのとも傑作集

 

やけど

すりきず

とげがささった

はなじ

しゃっくり

たんこぶ

ねこにかまれたり ひっかかれたり

 

小さい子になじみのある怪我についての絵本です。柳生弦一郎さんのカラッと明るい絵と共に、山田真さんがそんな時はどうすればいいか、子どもへ語りかけるように説明してくれます。

 

例えば「ゆびをドアにはさんじゃった」のページでは、

 

すこし いたくても、ゆびを まげたり のばしたり

できるなら だいじょうぶ。

そのままに しておいていい。

もしも、いたくて ゆびが

まげられなければ、ほねが

おれているかもしれない。

 

―その後細かい説明が続きます。

 

息子は、小さい頃は注射をしてもにこにこ笑顔。転んでも平気な顔で起き上がって走り出すような子でした。それがもうすぐ4才の今は、小さな怪我でも大泣き。転ぶとすぐにズボンをまくり上げ、血が出ていないかチェックをする、怪我にとても敏感な男の子になりました。

そんな彼が「きゅうきゅうばこ」を読んだ後、指をドアに挟みました。いつものように泣き始めた息子に、「本に書いてあったの、覚えてる?まげたりのばしたりしてみて」というと、「あ、そうか」という表情になり、自分で指を曲げ伸ばししてみて、ちゃんと動くから「大丈夫」と、涙はぴたっと止まりました。

 

いろんなことがわかり始めてきたから、ちょっとの傷でも、これは痛い、そしてもっと血がでるかもしれないとか、想像して不安になって泣く。でも同時に理解する力も育ってきているから、「指を曲げられたら大丈夫。」と、自分の頭で納得して、泣かないでいられることもできる。大丈夫な理由を知っていること。それだけで、いいんですね。

 

ほんとうに「救急箱」のような絵本です。