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くるまにのって

くるまにのって

岡本雄司 作 福音館書店 

こどものとも年少版446号2014年5月号

 

しょうちゃんは、お父さんお母さんと、車にのっておでかけ。工事現場を通り、トンネルをくぐり、しょうちゃんを乗せた車は山道を登ります。上から見下ろす構図で描かれた町や山道にはわくわくします。男の子のお母さんなら見飽きている郵便車、救急車、宅配車も、空から覗いている感じで描かれているので、ついつい覗き込んでしまいます。

 

そういえばこどもの頃、田舎に車で遊びに行くと、後ろの座席から山の下に広がる景色をよく眺めていました。絵本を読んでその時感じていた風の心地よさも思い出しました。よく見ると、登場人物のしょうちゃんの座っている車の窓も開いています。下の方に川が流れていたり、自分よりも下を車や電車が走っていたり・・・「見下ろす」という子どもの頃の体験はとてもインパクトがあるような気がします。

 

「でんしゃにのったよ」も人気の岡本雄司さんの本には、間違いなく男の子は食いつきますが、読んでいる間、母親も乗り物たちをほのぼのと眺めていたくなる、そんな貴重な絵本です。お店などの世界観も素敵で、魚屋さんがお店で作業していたり、自転車にまたがって海を眺めている人がいたり、タクシーに乗り込む営業マンがいたり・・・町の人たちの生活の瞬間を切り取った描写はじっと眺めていてもあきません。